アメリカの会社がシンガポール人を欲しがる訳
同業者のつながりの場というよりはリクルーターのデータベースと化しているLinkedIn。私もアカウントを持っていますが同業者よりリクルーターのコンタクトの方が多いのが現状です。
シンガポール人を探すアメリカ企業
以前某有名A社のリクルーターから
「アメリカ本社で働ける人を探してます。ただしビザの関係でシンガポール人かカナダ人かチリ人限定で」
とメッセージが届いたことがありました。
実際ローカルの同僚達に話したら誰もそのことを知りませんでした。君らは知っとけヨ(笑)
最近になって、またそのA社の別のリクルーターから
とのメッセージが。以前届いたメッセージの日付けを確認して見ると、ほぼ同時期でした。つまり6月頃。
うーん、どういうしくみ?
少しアメリカの就労ビザについて調べてみました。
超人気H-1Bビザ
このビザは毎年年間発給数に上限があり、毎年受付を開始すると申請が殺到してすぐにうまってしまうのだとか。
枠を超えて申請がきた場合、まず抽選で振り落とされます。
枠と抽選の仕組みはこんな感じ
- 全体の枠は85000人
- マスター枠20000と通常枠65000に分かれる
- マスター枠に入れるのはアメリカの大学で修士以上を取った人
- まずはマスター枠20000人分を割り当てる。マスター枠に申請が上限以上来た場合ここで抽選。抽選にもれた人は残りの通常枠に入れられる
- 通常枠で抽選
参照
ビザはアメリカの会計年始10月に合わせて発給され、申請受付はその半年前から開始されるので、4月1日に受付開始となります。
今年の実績値 : 申込者数 236000人!
マスター枠もあふれているとのことで、通常枠の倍率は3.6倍程度。ほっほーなかなか倍率高い。
それにしても、4月にビザ申請して抽選当たってビザがおりてもも働けるのは10月から?
ということは、もしアメリカの会社に転職したいなら4月前に転職活動せいってこと?
けっこう長丁場なんですね。
H-1B1ビザ枠
この枠は別枠なわけではなく、通常枠から引かれるのだそうで、つまり通常枠は実は
65000 - 6800 = 58200
となります。
厳密には前年度のH-1B1の空き枠などが加算されます。細かい数字は参照先をご覧ください
参照
ここで会社側の都合を勝手に想像してみました。
通常枠に申請が殺到して4月初めに来年度のビザがうまってしまった
↓
げ、採用予定者が抽選落ちた!
↓
人足りない。お?シンガポール人枠はまだ余裕がある
↓
シンガポール人探せ!
シンガポール人探せ!
ということではなかろうかと。
会社にとっては頭の痛い話ですね。
実はその後、別の某有名A社のリクルーターからも
「アメリカの本社で人材募集してます」
と接触が。
国籍について記載はありませんでしたが仕組みを知ってしまうと時期的にいまから来年10月入社の募集をかけるのはやっぱり不自然。シンガポール人を探しているのではと思います。
自分のLinkedInのプロフィールを確認してみると、居住地がシンガポールになっていました。ああ…これでメッセージ送りつけてくるんだな。
ちなみに社内異動によるビザは簡単に取れるようです。過去3年間で最低一年間は現地法人で働いていないといけないようですが。でもアメリカで働きたいならこれが一番確実な方法な気がしますね。
番外編 カナダもけっこう大変?
実はいま私の周りでカナダへ転職または異動する予定の同僚が数名います。
カナダも就労ビザの申請から許可までは4ヶ月から半年かかるようで、異動や転職が決まってから軒並み足止めをくっています。
さらに9月は学生のビザ発給で当局が忙しいからおそくなるだとか、PRの申請をしてしまうと就労ビザの審査対象から外されるなどいろいろな情報が錯そう中。トラブり率高いです。
その同僚の一人は最終的に弁護士の指示でFlagpollingというテクニックでビザをゲットしました。カナダに行き、アメリカに入国しすぐカナダに戻るだけなんですが、それでビザがゲットできるってどういうことだろう?不思議だ。d
シンガポールに来る時取得したEPは申請後1日か2日くらいで降りたのですごく長く感じますが、北米に移るのは意外に大変なんですね。今後のためにも勉強になりました