今日も、夏です。

常夏シンガポールで送る日々の記録

初代首相の国葬



先週月曜の朝、シンガポールの建国の父Lee Kuan Yewが死去とのニュースが駆け巡りました。先週いっぱいシンガポールは国喪に服し、週末の日曜日に国葬が執り行われました。

シンガポール建国の父 リー元首相が死去 NHKニュース

 

資源のない都市国家として独立させられ、涙の独立会見から50年足らずで東南アジアの金融拠点へと育て上げた敏腕首相。一方で言論統制など内政にはかなり厳しく批判も浴びた一面のある方です。シンガポーリアンにとっては尊敬も畏怖もあり、称賛も批判もある、そして明らかに国葬に値する大変特別な存在です。

リー・クアンユー氏死去、91年の偉業とは? | アジア | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

 

先週開かれた国会議事堂での一般弔問には多くの人が訪れ、私の知り合いもけっこう行きました。シンガポール人だけでなく永住権を持つ外国人も数名足を運んでいました。

 

葬儀当日は中心部の国会議事堂から郊外のシンガポール国立大学まで棺が移送されて葬儀が行なわれ、普段テレビでニュースを観ない我が家もこの日ばかりはTVで生中継を観ました。

 

偶然我が家は移送ルートの沿道まで歩いて行けたのでせっかくなのでお見送りに行ってみることにしました。あいにくの大雨にも関わらず随分早い時間から沢山の人が集まって来ていました。外へ出てみると普段ガラガラの駐車場が車であふれ道路にも路駐が連なり、沿道には人が何重にも並んで待っていました。棺を乗せた車が近づくと大きなLee Kuan Yewコールが起こりました。時速25kmで棺が通りすぎたのは一瞬の出来事でした。

 

沿道の様子はニュースサイトに沢山上がっています。

www.channelnewsasia.com

www.channelnewsasia.com

 

 

家に戻り葬儀の中継も観ました。日本人として思ったことは、

安部さんどうか目を開けていてくれ!

実は式が始まる直前に来賓席が映った際、安部首相がしっかりと目を閉じていた姿がテレビに映ってひやひやしてしまいました。式が始まってからは大丈夫だったようですが。それからやはり弔辞で日本の占領下の話が出たこと。今年談話を発表するという安部首相ですがなにか感じるものはあったでしょうか。

東京新聞:リー・クアンユー氏国葬営まれる 安倍氏ら10首脳以上が参列:国際(TOKYO Web)

リー・クアンユーと日本軍

個人的に私は「日本軍」という言葉は使うべきなのか疑問に思っています。日本とつけることでいくらか他人事のように聞こえるからです。実際に肉親が犠牲となった人にとっては「日本人」のほうが近い表現なのではないかと思うのです。うちの隣に住む老夫婦は明らかに戦時を経験した世代の方々で、旦那さんは犬好きでよく話しかけてくれますが、奥さんのほうはうちとは全く関わりたくないという態度をとります。そんなお隣さんのドアの上にはクリスチャンの十字架がかかっています。その振る舞いが奥さんの性格からくるものなのかうちが日本人だからなのかは確かめるつもりもありませんが、戦争を経験した世代の方に会うとはっとしてしまいます。

 

 

式の最後に黙祷がありました。事前にアナウンスされていましたが黙祷の際にはシンガポールの市民防衛庁のシステムを使ってシンガポール全域に警報が鳴り響くとのことでした。無事我が家にも甲子園のようなサイレンがきちんと聞こえることが確認できました。

SCDF to sound siren to mark minute's silence for Mr Lee Kuan Yew on Sunday - Channel NewsAsia

 

 

いろいろ言われているLee Kuan Yewですが今回人々の反応をみて感じたことは、今のシンガポールがあるのは紛れも無く彼のおかげであること、その偉業に人生を費やしたことへの尊敬と感謝の気持ちがみんなの中にあるということでした。

私はLee Kuan Yew統治下のシンガポールを知りませんが、彼がいなければ今シンガポールに住んでいるということはなかったはずです。実際自分がシンガポールに住むことになるとは10数年前ですら想像したことはありませんでした。

 

先週何度か目にしたLee Kuan Yewの遺したという言葉があります。

“I have spent my life, so much of it, building up this country. There’s nothing more that I need to do. At the end of the day, what have I got? A successful Singapore. 
What have I given up? 
My life,”
 
1人の人間としてここまで「自分の人生これ以上ないくらいやり切った」と言える人は世の中にそう多くはいない。
 
素直に尊敬します。
 
 
 

余談も余談ですが英語や日本語ではリークアンユーと呼ぶのが一般的なようですが、中国語ではどうもYewをヤウと呼ぶようで、うちの子供は保育園の先生が言う通りリー クワン ヤウと呼びます。