犬を飼っていると、万が一急に日本に帰ることになったときのためにやっておくべきことがあります。
飼い犬が係留なしで日本に入国するための
狂犬病抗体価検査です。
詳しい条件はこちらで手引きを確認してください。
シンガポールは「指定地域外」になります。
検疫所の条件をクリアするための手順は
- マイクロチップ挿入
- 狂犬病注射1回目(挿入と同時でOK)
- 30日以上の間隔をあけ狂犬病注射2回目
- 採血(2回目と同日可)、血清作成
- 指定機関へ血清を送り抗体価検査
抗体価検査の結果は採血日から2年間有効です。
シンガポールに来る前に日本できちんと準備していればあまり問題はないのですが、2年以上滞在している場合やこちらで飼い始めた場合はこちらの獣医さんで採血、血清作成をしてもらい、日本が指定する検査機関に血清を送って抗体価検査をする必要があります。
注意点として、初めて抗体価検査をする場合には、上記の手順を踏んで抗体価が問題ない範囲であっても
採血日から180日間は待機期間と言って係留が必要となります。抗体価検査の有効期限が切れ、かつ
狂犬病予防接種をきちんとやっていない場合も同様に待機期間が必要です。つまり急に日本に帰ることになって慌てて検査して基準値をクリアしても犬は係留施設に半年入れられるはめになります。もしくは犬だけ
シンガポールで半年間誰かに面倒をみてもらうか。なので、あらかじめやっておくことをお勧めします。
どこの検査機関に送る?
血清は作ってもらうとして、それをどこに送るか。日本が認定している検査機関はこちら。
…近くにない。比較的近いのは日本とオーストラリア。
どうやって送る?
SingpostはクールEMSがありません。以前Singpostに問い合わせたところ、常温でも犬の血清は扱えないと言われました。犬の血清は検疫が必要だったりして送るのもややこしいのですが、送るならDHLでしょうか。DHLで送る場合には通関手数料を払う必要があるそうです。このへんややこしいので、我が家では一時帰国にあわせて採血し、手荷物で日本へ持っていく手段をとりました。
※獣医さんに相談すれば採血から血清送付まで全てやってくれると思います。採血と血清作成だけで一頭$80程度かかるので、総額いくら請求されるかはわかりませんが…
以降は日本へ持っていくか送ることを前提として書いていきます。
書類の準備
まず読まなければいけないのは日本で唯一の検査機関、生物化学安全研究所のページ。
こちらで検査申請書類をダウンロードできます。こちらの獣医さんにサインをもらうので海外(
英語版)がいいでしょう。
狂犬病ワクチン接種履歴など必要事項をワクチンレコードにしたがって自分で記入します。
それから、犬の血清を日本へ持ち込むのにも手続きがいります(送る場合も同様)。動物検疫所のページで犬の血清が安全であることを証明する書類をダウンロードして必要事項を記入します。
採血・血清作成
獣医さんに説明をして採血および血清作成をしてもらいます。
申請書類に記載がありますが、
血清は、最低1mLを冷蔵または冷凍で送付
とあります。準備した書類ごと獣医さんに渡してしまいましょう。必要な分の血を採ってくれます。うちのかかりつけ獣医さんに頼んだら、採血後研究機関に送って血清を作ってもらうので1週間ほどかかると言われ、実際は3日くらいでできたと連絡がきました。
採血時に準備した2つの書類にサインをもらいましょう。
AVA獣医の裏書をもらいにいく
検疫用の書類には政府の獣医師の裏書が必要です。血清が届いたら書類を持ってAVAのオフィスへ行き、裏書(endorsement)をもらいます。
もっていったものは
- 血清についてきた書類
- かかりつけ獣医師のサイン済みの書類2つ
- ワクチンレコード
- Dog License
血清自体は冷凍庫に入れているので持っていきませんでした。ワクチンレコードなどは念のため持っていきました。
血清についてきた書類はこんな感じ。
AVAのオフィスはタンジョンパガーにありましたがJurong East JEMに移転しました。JEMの6FにAVAのサービスセンターがあります。(2015/01)
裏書き手数料は$9.45(2012年当時)でした。お昼時だったせいか結構待たされました。AVAは支払いにNETSかキャッシュカードしか受け付けていなかったのでご注意を。
その日のうちに受け取れない可能性もあるので余裕を持って行くことをお勧めします。
三重包装
犬の血清を日本に持ち込む場合は包装も検疫所の指定するやり方で行わなければなりません。
動物検疫所/狂犬病に対する抗体価の検査について
指定検査施設への血清の送付
血液の採取及び指定検査施設への送付は、あらかじめ検査施設に連絡を取り、検査申請書並びに血清の入った容器の表示方法、血清分離の必要の有無、保存 ・輸送方法に関する情報を入手のうえ、下記の事項に留意して行ってください。
- 診断用血清を輸出入するための包装は、IATA(国際航空輸送協会)の650号(感染性物質 infectious substanceを含む可能性が低い診断材料diagnostic specimenの包装指示)に準拠する必要があります。三重包装を原則とし、輸送による振動、また温度、湿度及び気圧の変化に際しても診断材料が漏れ出さない構造でなければなりません。
- 送付血清には、指定検査施設が定める検査申請書に必要事項を記入し、採血した獣医師が署名したものを同封してください。
三重包装についてはこちらに書いてあります。
動物検疫所/三重包装の例(IATA650準拠)
1.2mの高さからの落下に耐えられること・・・
前回持っていった時は血清をタオルでくるんで保冷剤をいれてからぷちぷちでくるみ、ジップロックに入れ、1眼レフのカメラレンズの箱に入れました。ラベルや粘着テープも忘れずに。
レンズの箱はダンボールなので保冷剤がとけた後湿ってしまいました。今回(2015年1月)は発泡スチロールの箱を使用しました。
血清の容器をタオルで包んでからぷちぷちでくるみ、テープで留めます。それを血清の入っていたパッキン付きの袋に入れ、ガムテープで密封します。
うちのように
複数の犬の血清を入れる場合は、袋の外からどの犬の血清かわかるように犬の名前や
マイクロチップの番号などをわかるようにしておきます。
ここでこの袋は密封性が乏しいことに気づき、さらに
ジップロックに入れ密封しました。そのあと保冷剤とタオルを詰めて蓋を閉め、箱をガムテープで密封して完了。行きがけにスーツケースにつめてしまいましょう。
余談ですが実はこの発泡スチロールの箱はローカルスーパーのFair Priceで売っているアイスキャンディーの箱なんです。これ超便利!アイスも小豆味やお米味とか素朴で美味しいのです。ドリアン味も…
検疫(自分で持ち込む場合)
日本に着いて入国し荷物をとったら税関を抜ける前に動物検疫カウンターへ行きます。カウンターは荷物受取所の端っこにあります。大量の農作物や肉類を持ち込み半分以上没収されている人がいたりすると結構待ちます・・・
書類と血清をチェックしてもらい、検疫申請書類に記入したら検疫済シールを貼ってもらい完了。税関を出たらクール宅急便で送ってしまいましょう。羽田空港なら第二ターミナルのヤマトがクール対応しています。
これであとは結果を待つだけ。
注意点など
落とし穴としては年末年始は検査機関がお休みなので宅急便を受け取れません。クール宅急便の保管期限に注意です。
それから検査料金は前払いです。私は毎度事前の銀行振り込みを忘れてしまい、血清を送ったあと慌てて振り込みメールで連絡する事態に陥っています。ご注意下さい。
もともと我が家は「少なくとも2年はいたい」と思ってやってきたので、抗体価検査は
シンガポールに入国できる条件のみで行いました(渡星まで時間がなかったため
マイクロチップ挿入後1度の
狂犬病ワクチン接種で採血しました)。しかし、はじめに就職した会社の雲行きが怪しくなりあわてて再度帰国条件をクリアするための抗体価検査をやることに。結局待機期間中に次の職を見つけたのでなんとかなりましたが、長くいたいと思ってもいられるとは限らないのが外国だなぁと油断しないようになりました。